メリットを紹介!介護事業所におけるBCP策定

近年、義務化が拡大したBCP策定。介護事業所におけるBCP策定のメリットは大きく分けて4つ考えられます。

1つ目は、「事業だけでなく、利用者や職員を守ることができること」です。BCPを策定しておくことで、非常時にどのように行動すれば良いのかが明らかになり、日頃から備えておくことができます。そういった対策がしっかりしていると社外からのイメージも良くなり経営面から見てもメリットとなります。

2つ目は、「補助金や節税優遇、金融支援が受けられること」です。何かと対策に費用がかかるBCPですが、自治体によって助成金や補助金が用意されています。例えば、東京都では「助成対象事業者」や「助成対象経費」の補助が出ます。また、信用保険の保証枠が追加されたり、資金の貸付金利が引き下げられるなどの優遇もあります。

3つ目は、「訴訟などのリスク回避」です。介護事業所が全うすべき、安全配慮義務がなされていなかった場合、民事訴訟などで賠償請求を受けてしまう可能性があります。BCP策定を行うことでそういったリスクを回避することができるのです。

4つ目は、「ワクチンの優先接種の権利が与えられる」ことです。新型の感染症が流行した際には、医療従事者と同様にBCP策定済の介護事業所の職員も優先的にワクチンを受けられます。

このように様々なメリットがあることから、多くの介護事業所は、早々にBCP策定に取り組んでいます。策定は義務化されていることから、いつかはやらなくてはいけないことですので早めにとりかかるのが吉と言えるでしょう。

対象拡大!BCPによる節税優遇・金融支援について

BCP策定により、事業継続力強化計画を認められた企業は、税制優遇や金融支援が受けられます。2021年の令和3年度介護報酬改定により、事業所もこの対象となりました。

まず税制優遇については、「災害への事前対策」としての防災に関する設備投資は特別償却20%となります。対象となる用途は「自家発電設備、排水ポンプ・浄水装置」といった設置に100万円以上がかかる機械装置です。

ほかにも「貯水タンク、消火・排煙設備、防火・防水シャッター」などの60万円以上の建物附属設備も対象です。さらに「耐震・免震ラック」といった30万円以上の物品全般も、災害への事前対策を目的としたものであれば対象となります。

特に介護の現場では、大人数の利用者と職員が共に感染症や災害に遭遇するケースが考えられます。東京都における独自の助成ではマスクや消毒液といった感染症対策の物品、利用者だけでなく職員用の備蓄などの経費も助成対象となります。自分の所属している自治体ではどんな支援があるのか、チェックしてみましょう。

続いて、直接的な中小企業強靭化法による金融支援です。「中小企業向け融資が低金利になる」「災害に係る要対策地域における設備資金に対して低金利の融資が受けられる」といった2点の支援を受けることが可能です。更に信用保険の保証枠、普通保険や無担保保険、特別小口保険にそれぞれに金額の異なる別枠が追加されます。

BCP策定および認定こそ必要になりますが、介護事業所であれば実利的にも有事の備えとしても有益なメリットがあります。