BCP策定の義務化と介護報酬

介護事業所でのBCP策定の義務化は、近年の社会情勢からみて当然のことと言えます。介護事業所や医療機関といった業種は、震災やコロナ禍といった不測の事態にこそ、事業継続が求められているからです。

介護事業所や医療機関は、新型コロナウイルスなどの感染症が蔓延したからといって、職員全員を自宅待機させ、リモートワークにできる仕事ではありません。介護サービスを受けなければ、日常生活を送ることすら難しい利用者やその家族のためにもサービスを継続し続けることが重要です。

つまり、介護事業所による介護サービスの提供は、社会を維持していく上で必要なことなのです。

実際に、不測の事態のもとでの事業継続は、介護事業所自体も不測の事態の当事者です。不測の事態の発生前と同じようにすることは難しく、状況に応じて業務内容のプライオリティを考えなければなりません。不測の事態で的確に、利用者や職員の生命を守り、事業を継続するには、事前に用意周到な準備が必要で、そのためにはBCPの策定が大切になります。

介護事業所でのBCP策定の義務化は、各事業所の状況を見直す良いきっかけとなるかもしれません。介護事業所それぞれが、自分たちの役割を再認識しましょう。不測の事態に陥っても事業を継続することが、社会に対しての使命です。普段から事業を継続するための準備を怠らないように、事業所全体で取り組みましょう。

しかし現実的には、介護事業所は中小企業であり、介護報酬なども多いとはいえないため、慢性的な人手不足や目先の日々の仕事が優先となりがちです。BCP策定に対してあまり進んでいない事業所もあるようですが、万が一のために少しずつでも備えていきましょう。